短い練習期間も終わって
あっという間に
運動会当日だった。



「宵~♪今日までダンスよく頑張ったあ!!」

タスキを掛けた愛が言った


「あんな簡単なダンスやったら楽勝よ!!」

「うわっめんどくさがってたのにさあ~」

「まぁね..辛いもんよ」

「うん。よく頑張ったね」


愛は言わなくても
なんでもわかってくれる。


「あっ!!愛の大好きな圭太くん発見!!写真とってあげる♪」



あたしは愛の手を引いて
圭太くんのところまで無理矢理ひっぱった。



「圭太くん♪愛がねっ写真..」


一瞬心臓が止まった..

だって気が付かなかったから。
圭太くんの横には
ひろがいた。


「宵ちゃん♪ダンス委員お疲れさま!!本間すごいよな~」

「...ありがとう」

「なっ!?ひろ!!宵ちゃんダンスうまいよなっ」

やめてよ..
ひろに話振ったりしちゃ
駄目だよ。





「..見てなかった。」




そうだよね。


ひろはきっと梨香ちゃんを
見ていたよね..



でもウソつき。



あたしが小さいときから
ダンスやってるの知ってるじゃん。小学生のときに何度か踊ってあげたりしてたじゃん。



ウソつき。



痛み出した胸を抑えて
ひろから目を反らした。


「あっ♪圭太くん。愛と写真撮ってあげて♪」

「も~宵のばかぁ」

愛は
あたしとひろのことを気にしながらも恥ずかしそうに
圭太くんと肩を並べた。


「はいっ♪ち~ず」

カシャっ


「ありがとう♪」


そしてあたしはすぐに
その場から離れた。


だってね
すぐに梨香ちゃんが
ひろのところに来たから。



運動会は
梨香ちゃんとひろの
ツーショット。

沢山見ちゃった。




だからずっと
胸が痛かった。



それしか覚えてない。


徒競走 走ったって
ダンス 踊ったって

全然 息切れなんてしなかった



ずっと 胸が痛かったから

ずっと ひろのことしか

考えてなかったから。