楽しい日はあっと過ぎてしまう。

あの日のデートから
もうしばらくたっていた。


でもやっぱり
幸せっていつかおわる。
なんとなく感じていた。
理由なんて無いけれど
こんな幸せはずっとなんて続かない。


そんな不安に眠れない夜が続いた。


その日は夜の公園で
ひろと会っていた。

「宵?元気ないな~」

「そう?」

「また家でなんかあった?」

ひろはいつも気にしてくれている。
昔からずっと...

「う~ん..相変わらずかな」

あたしの家庭は
引っ越しをしてからも
何も変わらなかった。
祖父からの暴力は無くなったけれど
母と父の関係は冷えきっていた。もうずっと話をしているのを見ていない。

父は寂しいのか
よくあたしに話かけてきた。
そんな父のために
あたしは母の代わりに
料理をしてあげたり
愚痴を聞いてあげたりした。


母はとても弱虫のくせに
父をほったらかしにしていた。
あたしに愚痴ばかり溢しては
よく泣きついてきた。
そんな母を慰めることがよくあった。


お互いからお互いの愚痴を聞いて
あたしはそれが衝突しないようにうまくやっていた。
その頃は
どっちも大切で
どっちも大嫌いで
どっちも大好き...

どうすればいいかわからなかった。



「ひろ~?」

「ん?」

「夫婦ってうまくいかないかな?」

「どうやろなぁ..」

あたしは少し考えて
本気まじりに言った。

「あたし..10年経ってもひろのこと好きで居れるなぁ」

「ほんまに?」

「うん。」

「じゃぁ10年経っても俺のこと好きやったら...結婚したいな★」


「本当に?」

「うん..」

「じゃぁ...もし別れてても..どっちかに恋人いても..好きやったら結婚してね」

「10年後な...うん」

「10年かぁ...」

そう。
10年後...
23歳のあたし。

ずっと一緒にいれるかな..