その観覧車は出来たばかりみたいで人が並んでいた。
記念にと乗るまえに係のひとがサービスで写真を撮ってくれていた。

ぎこちない二人
横に並ぶ。

「は~い撮りますよぉ」

カシャッ

「お帰りの際にプレゼントしますね~」

係の人が観覧車のゴンドラに案内してくれた。

静かに乗り込んで
やっと二人きりになれた。

「なんか..記念撮影なんて恥ずかしいねっ」

「おう。」

観覧車はゆっくりゆっくりと
二人を空に運んでゆく。

「なんか..ひろとこんなとこに来れるなんて信じられない。」

「俺も。昔はデートとかじゃなかったしな。」

「うんうん♪砂だらけなってはしゃいでたねっ」

「宵と付き合うとか変な感じや」

「ずっと友達だったもんね..」

「あの頃は好きになるとは思わんかったわ..変なの」

観覧車が頂上に近くなってゆく。

「うわ~やっぱ高いとこ怖いわ..」

「え~そんなに怖い?」

あたしは腰を浮かして座り直した。

「ちょっ!!動いたら揺れるって」

「えっ♪揺らしちゃおっかな~」

あたしは冗談混じりに
身体を左右させたりしてひろが怖がるのを楽しんでいた。



「あっ。もう頂上だね♪」

「ほんまや..下だけは見られへんわ~」

「え~みんな小さくておもしろいよっ」

「見られへん見られへん」

「あっもうすぐ頂上なる~~~」

「うん」

ひろはそれから頂上になるまで景色も見ないで
じっとあたしを見ていた。

「あっ頂上..」






──────ッ