「え?今??一人で?」

ほら..
ひろ焦ってる。

「ん‐ちょっと待ってて。家抜け出すから..」

ほらね...
困ってるでしょ。


あたしの為に
焦ったり困ったりすることが
嬉しいの。
嫌なやつだね。


電話を切ってからしばらくするとひろが走ってきた。


「もう~いきなりやな..」

「ごめん...ね?」

「まぁいいよ。どうかした?」

「別に何も...」

「え~?!」

また焦った顔をするひろに
あたしは言った。


「あのね...?」

「ん?」

「あたし大輔と別れたよ」

「....。」

困った顔のひろ。
あたしまずいこと言ったかな?

「知らんかった。」

「うん。」

「あいつ..いつも宵の事で何かあったら言ってきたのにな..」

「うん。」

「もうさすがに言いづらいよな。最低やな...俺。」

「でも...ひろ。あたしやっぱりひろが大好き。」

「...あほ。」

「え...??」

つぶやく様にひろが言った。

「あほやろ...。」

「なんで?」

「大輔と付き合ってたほうが幸せやろ。」

「なんで...」

「ほんまに宵はあほやわ!!俺...もう宵のことは諦めるつもりやからな。」

「やだ!!!どうして?!」

あたしは溜まらずに泣き出してしまった。

「ひろぉ...やだよ。」

「でも。宵とは付き合われへん。誰にも言われへんやろ...??」


「言わなくていい...誰にも言わなくていいから...」

「泣くなよ..。」

「泣いちゃうもん..」

「泣くなって...もう..」

ひろはそう言いながらあたしを抱き締めた。

こんなことされたら離れられなくなるに決まってるのに。
ひろは慰めるようにあたしを抱き締めた。