大輔と別れてからしばらくたっていた。

あたしは少し期待していた。
またひろから連絡が来ることを...


でもそうはいかなかった。
連絡は来ない。
大輔と別れたら
ひろともっと一緒に居れると考えている自分がいた。


大輔もひろも
あたしから無くなってしまった気がした。

弱いあたしは誰かにもたれながらじゃないと立てないくらいどうしようもない馬鹿だった。


自業自得だと思った。


でもね
やっぱり尋常じゃない程に
ひろが好きみたい。

抑えきれない胸の痛み。

ひろに会いたい。

無理だと言われても会いたい。


自分勝手なあたしの気持ちがひろを困らせてしまっても
伝えたいよ。

ただ好きなだけ
ただそれだけ

一緒に居て欲しい。




偶然って本当にあるんだよ。
あたしは引っ越しをして
ひろも引っ越しをしていた。

信じられないことに
あたしとひろの家は
あるいて5分もかからない場所にあった。


神様っていじわる。

こんな近い場所に
大好きな人が居たら
会いたい気持ちなんて抑えきれない。

駆け引きなんて出来ないよ。



あたしの足は
とぼとぼと薄暗い夜道を歩いていた。

ひろにただ会いたい。

また昔みたいに
たくさん名前呼んで欲しい。

たくさん話をして欲しい。




恐る恐る
ひろに電話をした。



「いきなりごめんね。今そっち向かって歩いてる....」