堪えていた大輔の涙は
まばたきをするだけで
ポロポロと流れ落ちた。

「大輔...泣かないで..」

あたしまで涙が流れてしまう。

「宵ちゃん。ごめん...俺本当は別れたくない...」

「...。」

「でも..これ以上嫌われたくなくて...。もしかしたら戻ってきてくれるとか期待して..かっこつけてもうて..」

「大輔...。」

「でもやっぱり我慢できひんみたいやわ。ごめん...辛い...」

「ごめ...」

「謝らんといて...どうしようもないわ。」

「あたし大輔のこと嫌いじゃないよ...」

大輔は下を向いたままであたしの話を聞きたくないみたいだった。

「...その気ないんやったらもう帰って欲しい...」

あたしは何も言えない
これ以上何も言ってはいけない
大輔
ごめんね。

「...バイバイ」

あたしは机の上に散らばった手紙と、大切そうにテレビの上に置かれていた二人の写真立てを残して部屋を出た。

さよなら 大輔。

こんな真夏日のデート日和に
痛い胸抱えて歩くのは不似合いだよね。