家に帰ってから
何度も大輔から着信が入っていたことに気付いたけれど
かけ直すのは辞めにしてそのまま寝てしまった。

夏休みは調度明日からだった。

大輔とした沢山の約束をあたしは守れそうにもない。

もう大輔を裏切ってしまっている。
嘘が付けないくらいにひろが好きだと気付いたから。

騙すことさえ出来ないね。

翌朝
蒸し暑さで目が覚めた。

顔を洗って
薄く化粧をして
出掛けようとしていた。

行く先は 大輔のところ

ちゃんと話をしなきゃいけない。

今まで大輔にひろを重ねて見ていたこと。
ずっとひろを思っていたこと。
大輔のもやもやを
あたしが消しに行くんだ。


「いってきま‐す」

「どこいくん?」

何も知らない妹が聞いてきた。

「はやく帰ってくるから待っててね。」


もう涙は出ない。

大輔にさよなら
言わなきゃいけないから。

決めたから。