platonic

｢...あたしも｣

｢え？｣

｢あたしもずっとひろのこと好きだったよ｡｣

｢宵...｣

｢いまも...今もずっと好きだよ？｣

目に涙が溜まる｡
やっと言えた｡
初めて言えた｡

｢ひろが好き｡｣


ひろはあたしの腕をひっぱって体を引き寄せた｡
抱きしめあって今までの穴を埋める｡
力強く抱いて
もう離れてしまわないように..

｢ひろ？ずっと一緒に居てくれる？｣


ひろの抱きしめた腕が少し緩くなってあたしの体を引き離した｡

曇ったようなひろの表情｡

でも愛しいの｡
愛しくて仕方ないの｡


｢宵...それは無理や｣

｢どうして？｣

｢宵には大輔がおる｡｣

｢でもっでもあたしはひろのことが........｣

大輔の顔が浮かぶ｡
帰ってくるって約束した｡
あの優しい大輔の手を裏切ろうとしている｡



｢宵..きっと俺にとっても宵にとっても大輔は大切や｡｣

｢...｡｣

｢だから裏切られへん｡宵とは一緒におられへん｣

｢じゃぁどうして...｣

｢俺は気持ち伝えたかっただけやってん｡｣

ひろは真面目な顔をしてあたしに言った｡


｢ひどいよ!!!そんなの...ひどい!!!｣

｢宵..ごめん｡｣

｢わかんない!!ワケわかんない!!｣


あたしはそのままその場所から逃げてしまった｡


｢ひどいよ｡気持ち伝えたかっただけなんて...聞かない方がまだましだったよ...｡｣

涙が止まらない｡
溢れだす気持ちにもう歯止めなんてきかない｡

戻れない｡
もう 戻れない｡

やっぱりずっとひろが
好きだった｡