あたしが話を切り出すと
ひろはまた少し黙ってから話出した。

「大事な話やから長いけどゆっくりきいてくれ。」

「うん。」

「俺..宵とはずっとほんとに友達と思ってたから...全然話しやんくなって...他人みたいになってしまって...焦った。」

「え...」

唐突な内容に
胸がドキっと高鳴る。

そしてまたひろは話始めた。

「俺..小学校の時から好きとか付き合うとか解らんまま...あいつと勢いで付き合って...それやのになんか宵に対してすごいムカついててん。」

「え...」

「よく考えたらおかしいよな。宵は関係ないのに自分がしたことやのに..なんかイライラしてて無視してしまって...中学入ってからはあいつとも自然消滅してあほらしくなった。こんなしょうもないことで宵のこと無視して...あほやなって..」

「...うん」

ひろと話をしているうちに
あたしの胸の奥が
優しい気持ちで溶けていくような気がした。

ひろの声は
いつでも優しくて
あたしを包み込むみたい


「でもな...なんか今さらなって宵に話かける機会もなかったし..勇気もなかった...他人な気がして仕方なかった」

「うん」

「そしたら宵は彼氏つくったりしてて別人な気がした...どんどん離れていくって..それで...」

「でもそれは..ひろだって」

「うん...でもな、大輔に付き合ってるって聞かされたときに..すごい焦った。嫌な気持ちなってん。うまくいってるって大輔から聞く度に...。すごい焦った。」

「え?」


「それで気付いてん。俺きっと宵が好きで...宵が誰かと付き合うのがなんか嫌やわ。」

「....」

「宵とは他人になりたくない...でも、やっぱり大輔からは宵のこと奪われへん。でも気持ちは伝えたかった...。」

「ひろ...」

「宵がどう思ってても別にいい。他人だけは嫌やったから...」

「うん。あたしも...」




やっと
長い間つくりあげてきた壁が
崩れてゆく。