走って走って
あの公園まで行った

途中涙が溢れる。

どうしてあたしは
ひろが好きなの?

大輔の手を離したの?

本当は
こうなってしまうのが
少し怖かった。

だから
誰かに捕まえていて欲しかったのに

それなのに
自分からあの優しい手を離すなんて
バカだと思った。

でもどうしようもなかった。
あたしの気持ちは
日が重なるにつれて
止まることなく大きくなってく。
これからもそれは変わらない。


しばらく走って
ようやくあの公園が見えてきた。

遠くからでもすぐに解ってしまう。
そこにはひろが立っていた。

あの日のひろが
そこにまだ居た気がした。


「...はぁ...はぁ...ひろっ」

「宵...」

あたしは精一杯に普通に振る舞おうとする。

「どうしたの?急に...」

「いや...なにしてた?」

「...大輔の家おった」

「そっか..やっぱり」

少し沈黙が続く。
あたしは何故ここに呼び出されたのか
さっぱりわからない。

「あの..ひろ。久しぶり」

「あっ久しぶり..」

ひろは近くで見ないうちに
背も伸びていて
声も少し変わっていた

「あっあの..アドレス!!そう!!あたしのアドレス誰から聞いたの?」

「あ~..クラスのやつに..」

「そっか....」

また沈黙が続く。

季節は夏
少し蒸し暑くて
生暖かい風が吹く


沈黙を破ったのはあたし。







「ひろ?話ってなに?」