あたしはいつも自分に
いいきかせていた。

もうこれ以上
辛い思いはしたくない
惨めな自分になりたくない

だからいつも
自分が傷つかない道を
選らんでいるつもりだった。

だから
家族がぐちゃぐちゃにならないように
穏便に何もかも
自分がうまく運んでいた。

だから恋だって
あたしを大切にしてくれる
大輔を選んだ。

そんなふうに
穴を掘って進んできたような気がしていた。

自己防衛

あたしは自分を守るのに必死だった


でも
そんな日々の片隅には
一番辛かった時に救ってくれた
あの日のひろの笑顔が
耐えず残っていた。


大輔を選んだと言ったけれど
心はひろを求めている。



大輔に体を求められた日。

あたしはこれでひろと
本当に何の縁もなくなってしまう。
ただ
"大輔の女"になってしまう
そんな気がした。

大輔の肩の向こうに
ひろの顔が見えた気がして
胸がえぐれそうなくらいに
痛くなってしまった。


こんな気持ちを
ひろに恋している

そう言えるんだろうか?

あたしはいつまでもひろと過ごした過去にしがみついてる
そんな気がしていた。

恋なんて
甘酸っぱい響きじゃない

でもただひろが好きで仕方ない。

どうしようもない。