仲良くなって
1年が経った。
小学校も6年生。
卒業を控えていた。

みんな
恋だの告白だの
そんなことを騒ぎだす。

あたしにはよくわからなかった。

解らないフリをしていたのかな?
ひろとは
友達だといいきかせた。
ずっとこのまま...

そんな時噂を聞いた。

ひろの幼馴染みの女の子。
めぐちゃんが
ひろを好きだってこと。

バレンタインまでには
告白するってこと。

あたしは
戸惑っていた。

それでも毎日変わら
ずひろとは遊びに出かけた。

ひろとあたしの家は
まったく反対方向だった。

でもひろは
いつもあたしの家まで
送ってくれた。

いつも
なかなか家に帰ろうとしないあたしにひろは聞いた。


「よいはさ~家帰りたくないん?」

「...うん。」

「なんで?心配やん」

「だって...」


あたしはそのたった一言で
涙が我慢できなかった。
いつもは
泣くもんかって
唇かんでたのに...

「俺に言われへんことある?」

そう...
ひろは友達。
なんでも言える存在。

あたしは溢れる涙を
服で拭いながら
ひろに溜っていた不安な気持ちをぶつけていた。


「あたし...はやく大人になりたい...」

あたしの消えそうな声を
ひろは受け止めた。

それからひろは
あたしを
ぎゅっと抱きしめて
ただ
「大丈夫」
と言った。

不思議だよね。
本当に大丈夫だと思えた。

季節も寒い冬。
抱きしめたひろの腕は
温かくて
優しくて
涙がとまらなかった。

抱きしめられた
腕のなかで
気付いてしまった

あたし

あたしひろが好き。




あなたの包む腕の中で
安らぎと
心臓の高鳴りを感じた。

胸がくるしかった。

あたし達
ずっと友達だよね?

ずっとずっと
一緒にいれるよね?

ねぇ。ひろ
はじめて
誰かに抱き締められたみたいに
温かさを感じたの。
無口なあなたの腕には
言葉よりも
大きな優しさが
あると想うよ。