大沢 宵[ オオサワ ヨイ ]
新しいクラスになれた頃。
あたしは一人の男の子に
目が惹かれていた。
それが
大下 祐[ おおした ひろ ]
特に理由はなかった。
恋でもなかった。
でも何故か
気になる存在だった。
気がつけば
自然に話しかけてた。
「名前なんて言うの?」
「おおした ひろ。」
「ふ~ん。」
「...何?」
「ぢゃあひろちゃんって呼ぶ♪」
「別になんでもいいし」
まだまだ幼いあたし達が
どんな話をしていたかっていうと
ほんとにくだらない話。
休み時間は
一緒におにごっこしたり
かくれんぼしたり
自然に自然に
仲良くなっていった。
放課後も
遊ぶようになってからは
本当によく一緒にいた。
クラスの女の子の
ひがみもあったけど
あんまり気にしていなかったし
ひろも
ひやかしなんて
まったく気にしていなかった
だって
本当に友達だったから。
あの時
息を潜めて
ぴったりくっついて隠れた
体育館の軒下を
覚えてる?
追い掛けあって
ふたり転んで行った
保健室も覚えてる?
あたしには
鮮明すぎて
いつまでも忘れられないよ