「大輔ごめん..」

でも大輔は
そんなあたしの話なんか
聞こえなかったみたいに
あたしの手を握った。

「近くの公園いこか?」

「...うん」

初めて大輔と手を繋いだ。

無言のまま歩く。

公園についてから
大輔は話はじめた。

「別れたいん?」

「..うん」

「なんで?」

「好きじゃないから..」

あたしは本当のことをいった。
「大輔はいい人過ぎるし..あたしには重たいし..はじめから好きじゃなかった。」

「..そんな気してた」

「..うん」

大輔みたいな人は
珍しい。
優しすぎる。

「俺..ずっと宵のこと好きや」


「そんなことないよ。もっといい子がおるっ」

「そうやな..」

「じゃぁ..あたし帰るね」

「まって。ほんまに別れるん?」

「うん。」

「じゃぁ別れるから..キスさして?」

「え?」

正直ためらった。
でも
ひろも新しい彼女とキスしてる。
だからあたしだッて...

こんな時でも
ひろが頭から離れないまま
あたしは大輔にキスされた。

一度じゃなく
何度もされた。

ひろと最後にしたキスを
忘れさせられそうで
あたしは口をそらした。

「ごめん!!じゃぁばいばい」

あたしはそう言って
逃げるようにして帰った。