高校受験も控えた
大事なテストがあった。
みんな少しでも余裕を作りたくて、内申をあげるためにテストの休み時間の合間にも参考書を眺める。
「宵‐?」
「なんだぁ愛かぁ...」
「勉強しないの?」
「愛こそ勉強大丈夫?」
「あたしは名前書けたら受かるようなバカ高校だから勉強なんてしないでい~の」
「あは..そうだったね」
愛の進路は地元の高校だった。
だから会えなくなることも無いし特に卒業だからって寂しくはなかった。
「じゃあ名前書く練習しときなよ」
「ぶ~!!いじわる!!」
チャイムが鳴ると同時に愛は席に着いた。
テストが始まる。
あたしはテストの度にずっと緊張していた。
その理由はひろが後ろの席だったから...。
テストの答案用紙を見直そうとした頃に
ドン
ドン
とあたしのイスが少し揺れた。
ひろが後ろから
あたしのイスの後ろを
蹴ってきたからだった。
誰にも気付かれないように
何度も静かにイスを蹴る。
あたしはテストに集中するどころじゃなくて
後ろに居るひろの存在を全身で感じていた。
"好き"
どんな状況でも
ひろにはかなわない。
"だいすき"