あたしはただ嫉妬しながら
ずっとあの子を見てた。
ただそれだけ。
季節はあたしの気持ちなんて
無視するみたいに巡ってしまって
いつの間にかみんな卒業を意識しはじめていた。
受験シーズンもピーク。
あたしは願書を書きながら
あの日の事を思い出した。
"ゆびきり"
そう。
あたしはひろとまだ付き合っていた頃に約束をした。
"一緒にS高行こう"
でも噂ではひろはS高には行かないで、もう少し高いランクの学校に行くと聞いていた。
「いくらなんでも惨めだよね」
あたしがそれでもS高を選んだりなんかしたら惨めな気がした。
本当は担任の先生にも
"S高に行けばいいのに"
と言ってもらえるくらい勉強していた。
親に迷惑をかけないように塾も行かずに一生懸命していた。
あたしはひとつだけランクを落としてI高に行くことにした。
I高はS高とも距離がすごく近くて、"もしかしたら"なんて思っていた。
それから、偶然かも知れないけれど、大輔の進路もあたしと同じでI高だった。
進路が一緒だということで前より少し話すようになっていた。
あたしはひろとのゆびきりを
守れないみたいだった
守りたいのに
守れない