「あのさ...。今日電話したことやねんけど」

「わかってる!!内緒にして欲しいってことやろ?」


「違うっ。そうじゃなくて」

「ん?」

「泣いてなかった?」

「いつ?」

「伝言ゲームのとき」

「え?」

「一瞬だけ目合ったの覚えてない?その時泣いてた。」

「えっ?知らない...。覚えてないよ」



本当に覚えがなかった。
でもあのときひろは
あたしのことをちゃんと見ていてくれた。


でもひろの前で涙なんて流したりなんてしなかった。


「泣いてないよ?」

「....そっか」

「うん」

「じゃぁ泣いてるような顔してた。」

「...。」

「なんか嫌なことあった?」

「別に」

「やっぱり俺なんかした?」

「...わかってるくせに」


ひろはきっとわかっていた。
自分の言ったことで
あたしを傷つけたことをわかっていた。



「ごめんな。あれはついつい...宵のこと自然に避けるようになってて。でもあんな顔すると思わんくて」


「....。別にひろがあやまることじゃないよ。だってひろにはあたしのことなんか関係ないやん?」

「でも...。」

「あたしの気持ち知ってるくせに...。」

「うん...」




ひろは困った顔をしながら頭を掻いた。


「あたしのこと心配...?」


ついうっかりなのか
気が付けばそんなことを言ってしまっていた。

ひろの返事が怖くなる。


「心配なん...?」

「....。」



黙るなんて卑怯だよ。
あたしにここまで言わせてしまっておいて
黙るなんて本当に卑怯だよ。

ひろの馬鹿。








勘違いしてもいい?
思い込んでしまっていい?


ねぇ ひろ。


あたしに
あのときの感情が蘇ったの。



"ずるしてでもひろが欲しい"