[あのさ...]

[何?]

[伝言ゲームしたとき...泣いてなかった?]

[え?]

[ほら...。いきなりどっか行ったやろ?]

[え~~~~と...]

[ってか俺電話代ヤバいねん。今家出られる?]

[....今はコンビニ居るよ]

[ちょうどいいわ!!近くのコンビニやろ?行くから待ってて]

[えっ?ちょっと....]

ッ────ッ────


ひろはそれだけ言うと
すぐに電話を切ってしまった..





「....え。やばい。まずいよ..」




それもそのはず。


あたしはシャワーを浴びたばっかりで顔は素っぴんだし
服はジャージだし...
靴はサンダルだし...


「やばい!!!」


あたしはうるさい心臓をおさえようと必死だった。
とりあえずコンビニのトイレの鏡で自分の顔を確認した。


「え~やっぱだめだよ...」



「前髪...真ん中で分かれてるし」


とりあえずあたしは前髪を直してコンビニの外に出た。




「....え」


「おうっ」


外に出るとひろはもう来てしまっていた。


「んと...こんばんわ」

「こんばんわ」


「公園...行くか~」

「うん。」

「乗れよ」

ひろは自転車の後ろの方を指差したけれどあたしは戸惑った。

「...乗っていいの?」

「いいよ」

「梨香ちゃんは...?」

「さっき家まで送ってきた。」

「...そうじゃなくて。」



あたしの中でひろの自転車の後ろは特等席だったから...



「乗れよ」

「...うん。」




言われるままにあたしは自転車の後ろに乗った。
そしてゆっくり動き出す。



「こんな夜遅くに家出て大丈夫なんか?」

「え...みんな寝てるし」

「そうやったな。」

「うん」