お土産を見ていると
プレートのついたブレスレットに文字を彫ってくれる店があった。
「おまけで二人ぶん作るよ~」
「じゃぁ買おっか?」
「うん。」
気前の良いお兄さんが
値段を安くしてくれたので
あたしたちは買うことにした。
「名前は~?」
「宵です。」
お兄さんは器用にプレートにローマ字で文字を掘った。
「裏にはなんて彫るの?」
「え?裏??」
「特別に裏も彫るからさ♪」
「...ひろ。」
「ひろね~♪青春だね!!」
「まぁね♪」
プレートの裏には
ローマ字で丁寧に"ひろ"と彫られていて、その下の方には
loveと彫られていた。
すごく嬉しかった。
愛もお兄さんにのせられて
同じように彫ってもらっていた。
「これ...二人だけの秘密やね」
「うん。秘密」
照れくさかったけど嬉しくて
あたしの宝物になった。
今この瞬間の気持ちを
ブレスレットをみるたびに思い出すように詰め込んだ。
長崎は涙の町。
今でも愛と長崎の話をするときは
そんなフレーズが出てくる。