しばらく探していると非常階段に愛が座って泣いていた。


「愛~?」

「うっ...ヒック」

「大丈夫?」

「あたし...本当はみんなより前から気が付いてた...」

「うん」

「みんなより圭太くんのこと見てるから...なんか態度ですぐ分かって...やっぱり彼女居った....ヒック」

「うん」

「あたし...やっぱり亜希ちゃんには勝たれへん...亜希ちゃんになりたい。」

「愛は愛じゃなきゃ~。あたし困るなぁ~」

「う~ヒック」

「よしよしっ」

あたしは優しく愛の頭を撫でた。


「みんな...見てたよね?」

「あ~見てた見てた」

「恥ずかしいよ~」

「戻りにくい?」

「うん...」

「わかったわかった。」


あたしと愛はそのまま夕食には戻らなかった。
おなかが空いた時のために売店でパンを買ってそのまま部屋へ戻った。


しばらく愛を慰めていると
みんなが心配して早めにかえってきてくれた。

「愛~?大丈夫?」

「ほら~。担任にお願いしておかずこっそり持って帰ってきたよぉ~」


愛は少し腫れた目になっていたけど、それでも明るく笑った。

「ありがと~」


「ほらっお風呂行こう♪腫れた目治さなきゃ!!このあとレクあるよ」

「あっ本当だぁ~。宵のダンス見るの楽しみ~」

「はいはい!!無理しないでね♪みんなでお風呂行こう」

「うん。」



愛は本当に素直な子で
笑ったり泣いたり
みんなを困らせるけれど

優しくて可愛くて大好き。



どうして圭太くんは
そんな愛を選ばないんだろう



恋って難しいね。
好きだけじゃうまくいかない。


あたしだって同じ。
どんなに思ってみせても
あの子のように
上手にひろとは付き合えない。



もう
ひろを好きでいるだけで
嫌な女になっちゃうね。