あの時にあたしが本当のことを愛に言わなかったのは
優一に口止めされたからじゃない。


"どうでもよかった"


ただそれだけだった。

馬鹿らしくなってしまった。


優一に別れを切り出すのも面倒くさくてあたしはそのまま付き合いを続けた。




あたしは優一に何ひとつ求めなかった。
メールだって電話だってしなかったからいつも受け身だった。



もう心はからっぽだった。




きっと優一も付き合っていて楽くなかったと思う。
だからそのうち優一から振ってくるだろうと思っていた。
それでもあたしと優一が続いたのは身体目当てだったから。




あたしは優一と付き合ってから毎日のように身体を求められた。



外でされたこともあった。


避妊を拒否されたこともあった。


愛なんて何処にもなかった。



「宵..?好きやで?」

身体を重ねる最中にいつも優一は言ってきた。

「エッチするのがでしょ?」

あたしは毎回同じことを答えていた。

何も感じない。
こんなセックスに意味なんてこれっぽっちも無い。


"ひろがいない"
そんなあたしに新しい恋愛なんて意味が無い。




回数を重ねるたびにあたしは汚されてしまう。


"別れればいいのに"

そうすれば汚されない?
もう遅い。
本当にどうでもよかったから
これで良かった。



こうして無理矢理抱かれていたらひろのこと考える時間が少しでも減るんだよ...



あたしの身体はどんどんセックスすることに慣れてきてしまっていた。
回数を重ねるたびに
その意味が分からなくなる。