"ずるしてでもひろが欲しい"



心の中ではそう思っても
どんなに願っていても
現実には叶わない。


それなのに心の中ではどんどん嫌な女になる。




ひろと梨香ちゃんが別れることは無かった。
あたしが知らないうちにきっと二人にはたくさんの思い出と深い繋がりが出来ていくんだね。

どうしようもない。


それにあたしはもう汚されてしまっている。
ひろを純粋に思う気持ちなんてもう汚れている。





優一に襲われた次の日に
最悪なことが起きた。



「俺!!童貞捨てた~」



昼休みの廊下で
大きな声で優一が言っていた。


「え~?まじで?」

「お前やるやん!!!」

「まだ一週間やろ?」


優一は次の日から童貞を捨てたと誇らしげに自慢していた。


クラスでも何人かの女子に聞かれた。

「あんたもうやったん?」

「はや~」


本当だったら引いてしまうような話だけれど
幸いあたしの周りの仲のいい友達はみんな軽い感じの子ばかりであまり何も言われなかった。

陰でこそこそ言うような子も居たけれど特に何も言われなかったし、ただたまに冗談まじりに"やりまん"って言われることがあったくらいだった。




特に大騒ぎされることも無かったし案外普通な反応で
あたしは少し楽に思った。