卒業も無事におわり
春休みは
友達とプリクラを撮って
遊んではしゃいで...
カラオケいったりして...
普通に過ごしてた。

ただ
となりにはひろがいない。
それだけだった。

友達も
あたしに気を使いながら
たまにひろのことを聞いたりした。


「よいはさ~大下くんのことすきやったんじゃないの?」

「えっ?」

この手の話題は
何度聞かれても
あたしの胸をかきまわす。

「いや。友達やっただけ」

「みんな付き合ってると思ってたのになぁ~」

「んなわけないじゃん..」

「じゃぁ。なんで最近話してないの?仲良かったじゃん。」

「そりゃぁ~彼女出来たし」

「でも友達だったら関係ないぢゃん?」

「う~ん...駄目なんだよ」

「なんで~?」

「わかんない♪」

あたしは痛い胸を
抑えながらも
笑いながら言った。

友達なんて
いい聞かせるのは
もう辞めた。

だってあたしは
ひろがすきだったし...

でも
友達のままでよかったのは
本当だった。

恋とか付き合うとか
わからない。

どうしてそうなると
そばにいれなくなるんだろう。

「おじゃましましたぁ」

「はいは~い☆」

友達が帰った後も
あたしは考えてしまった。

ひろは何をしてくれたわけじゃないけれど
あたしを支えていてくれた。
あたしには
存在が大きすぎたみたい。

だからこんなに
苦しくて苦しくて
胸が痛いんだ。


部屋においてあった
ニット帽を眺めた。

「寒いからって..いつもあたしに貸してくれたっけ。」

また一緒にいたときを
思い出す。

「返しそびれちゃった。もう返せないよね...」


ぽっかり空いた穴には
隙間風が
ふきっぱなしだった...。

あたしは
ひろを友達だと
いい聞かせるんじゃなくて

もう諦めると
いい聞かせるのに必死だった。



春休みも終わって
もうすぐ中学生。