「もう寒くないねー…」


夜の風は、もう冷たくない…


「夏が近づいてるからね」

暗い中でアイツのタバコの赤い小さな光が見える。


「入るなよー…風邪ひくぞってオイ!!」


「え?…何?」


あたしは既に靴を脱いで波打ち際ではしゃいでいた。

「まだ水は冷たいよー」


「当たり前だよ…ほら…出て来い」


寄せる波に濡れないようにあたしに手を差し出す。


「もう終わり?」


「終わり!終わり!」


「ちぇ…分かったよ」


仕方なく海から出た。