「でも、美由は俺には…何も言わなかった…」



俺が呟くと、梨衣はまっすぐに俺を見つめた




その目は、赤く充血していて、涙でうるんでいた




「一緒に駅から帰った時、天が何も知らないって…気付いてた…」




「じゃあ…何でその時、教えてくれなかったんだ?…その時だけじゃない!美由が死んでしまうまで…いくらでも時間はあったじゃないか!」



俺は思わず声を荒げた




そんな俺とは対照的な静かな声で、梨衣は答えた




「美由は自分で話したいって言ったのよ?私は勝手に話すなんてできなかった。だからすぐに、美由に電話したの…言いづらいんだったら、やっぱり私が伝えようか?って……でも、美由は必ず自分で言うって、言い切ったの…私に、『一生のお願い』だからって言うのよ…」