チャイムを鳴らすことも、ノックをすることもなく、俺は勢いよく梨衣の家のドアを開けた
「梨衣…」
呟きながら、梨衣の部屋へと進み、ドアを開いた
中では梨衣が、顔に何の表情も浮かべずに座っていた
「梨衣…」
呼びかけると、ぼんやりと無表情な顔のまま、俺の方に振り向いた
「…天?どうしたの?こんなに朝早くに…」
「あ…いや…美由の話、聞いて…少し、心配になって…」
「…ありがとう」
力なく微笑むその様子は、とてもいつもの梨衣からは想像できなかった
「それに…突然すぎて…俺、何がなんだか…」
乾いた笑いを含みながら言った俺の言葉に、梨衣の表情が曇った
「梨衣?どうした?」
「…ゴメン、天……突然なんかじゃないの……私、知ってたの……美由が…もうすぐ死んじゃうって…」