「俺…美由に告白できなかった」









聞けなかった言葉の代わりに出て来たのは、そんな報告だった









いつもは聞かれるのがイヤだったのに、聞かれなきゃ聞かれないで不安になるんだな…なんて、自嘲的な気分になった







「そうなの…」







梨衣の答えは、それだけだった







「ああ…言えなかったっていうか…言わせてくれなかった」









今度は、梨衣から何の答えも返ってこなかった








さすがに、キスのことは黙っておいた









そこからは、二人とも無言で、家まで歩いた