「あら、早いわね。もう出かけるの?」
「ん…まぁ…」
母さんに適当な返事をする
驚くのもムリはないよな、まだ8時なんだから
朝食を済ませた俺は、家にじっとしているのがもどかしくなって、とにかく出かけようとしていた所を、母さんに発見されたわけだ
「今日で美由ちゃん、帰っちゃうんですものね~…でも、こんな時間に行ったって、まだ美由ちゃんはいないわよ~」
からかうような口調で、母さんが言う
朝食の時に、うっかり待ち合わせ時間を言ってしまった俺がバカだった…
「落ち着かない気持ちも、分かるけどね~。美由ちゃんみたいな可愛い子とデートできるんですものね♪梨衣ちゃんも美人だし♪」
「はぁ?何でそこで梨衣が出てくるんだよ?」
俺の質問なんて、母さんの耳には入っていなかった
「あの二人のどっちかがお嫁に来てくれたら、お母さん、嬉しいわ~」
…ダメだ、完全に面白がってる…
「…行ってきます」
今朝何度目かの溜め息をつきながら、俺は玄関のドアを開けた