家の前で梨衣と別れて、俺と美由はホテルへと歩き始めた
ホテルまでの道のりを、俺たちは他愛もない話をして盛り上がっていた
小学校の思い出
明日の遊園地のこと
俺たちは、本当に楽しく話していたんだ
なのに突然、美由が何も言わなくなった
悲しそうな顔をして
「…どうした?」
「…天ちゃん…あのね…」
真剣な表情で俺を見上げ、美由が口を開いた
「ん?」
「あの……明日、楽しみだねぇ」
一瞬、戸惑ったような表情を浮べたあと、美由はまたいつもの笑顔に戻った
美由が、絶対に違うことを言おうとしていたことは分かっていた
でも俺は、あえてそれを聞こうとはしなかった
「そうだな」
俺も笑顔でそう返事した