レイの手を繋いだままあたしは会場に向かう廊下を歩く。


後ろをちらっと振り返ると、ノエルが本当に面倒くさげに嫌々顔で歩いていた。


足音が赤絨毯に吸い込まれていき、かなり静かだ。


ノエルから前に向き直ると、シャンデリアがいくつも続いており、同じく赤絨毯もどこまでも続いている。



本当に金持ちのやることは派手だわ…


てかある意味無駄遣いだよな


とか現実的な事を考えていると


「ご主人!会場がだんだん見えてきたっすよ。」


だいぶ前をファイが楽しそうに飛び回りながら、笑顔をあたしに振りまく。



さっきからずっとハイテンションだったファイだけど、会場が見えてきたことで更にテンションが上がっていた。



「あっ、本当だ!」


バイオリンみたいな音が向こうの方から微かに聞こえてくる。


あたしはファイの所に駆け寄ろうとレイの手を離した。



「あっ…」


レイは軽く声を上げる。


そんなレイの声にあたしは振り向いた。



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