「何だ、この歌?」
後ろからノエルが訝しげな顔であたしに近づいてきた。
あたしはそれを尻目に見て、少女の後ろ姿を見つめた。
翼が前よりも更に黒が増している。
まるで一筋の光さえも届かない闇のように………
もうそれほど時間はないようだ。
「これからどうしますか?」
レイもあたしの隣にやってきてそう尋ねてきた。
「…ごめん、二人とも。ここでちょっと待っててくれねぇか?」
あたしは二人に微笑みかけてそう言うと、二人の有無を聞かずに再び前へと歩き出した。
鳥籠の傍まで近づいたあたしは、床に座って鳥籠の檻を強く掴んだ。
「なぁ」
あたしがそう声をかけると、少女は体をビクッと動かし、ゆっくりと振り返った。
虚ろな赤瞳が私を捉える。
.