あたしはライオスの悲しみのこもった顔に胸が苦しくなった。


どうしてそんな顔をするのか、この時のあたしには理解できなかった。



「10歳の誕生日。それは一年に一度の楽しい日。

二人は背中に翼が生えてるから特別に作ってもらった白いドレスを着て、パーティーに参加したんや。

そこに、ある黒づくめの集団が押し寄せてきた。

そして、そいつらは人々を次々と虐殺したんや。」


「えっ!!」


あたしはその「虐殺」という単語に反応してしまう。



「もしかして、両親も…」


あたしの問いにライオスは辛そうに頷いた。


あたしは思わず、胸元の家族写真の入ったペンダントを見つめた。