桜が舞う春。


あたしは慌ただしい朝を迎えた。


「ヤバっ!もうすぐ遅刻じゃん。」

あたしは自室の壁時計を見ながらハンガーにかけてある制服を手に取り、着替え始める。


なんで、今日に限って寝坊すんだよ、自分!!


焦ってシャツのボタンが上手くとめれない。




なぜこんなに急いでるのかというと、今日は大事な大事な始業式だからだ。


それにも関わらず、今の時刻は8:15

このままだったら完璧遅刻決定だ。


いつも遅刻してるから、始業式は遅刻しないで行こうと思ってた矢先にこれだ。


もう朝ご飯はめんどくせぇからいいや!!


手櫛で乱れた髪をとかし、学生カバンを肩にかけると急いで家を出ようとしたあたし。



だけど


「おっと、いけねぇ、いけねぇ!」



あたしは家を出る前に唯一の和室に向かい、仏壇の前で手を合わせた。


「行ってくんな。お父さん、お母さん、悟、蓮兄。」

仏壇にはあたし以外の家族みんなの写真が飾られてある。





5年前、


あたしの家族は、何者かに殺された。




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