「なんでここにいんの分かったんだ?」


木に隠れながらあたしは尋ねる。


「お前の気配ぐらいすぐ分かんだよ。


気味悪いから今すぐそこから出て来い」



あたしはノエルにそう言われ、木からそっと出る。


ノエルはもう湖から出ていて、赤いバンダナとかの荷物が置いてある木のそばで荒くタオルで自分の頭を拭いていた。



あたしはその荷物が置かれてる木の、隣の木に膝を抱えて座る。


ノエルもあたしにつられて、自分の荷物が置かれてる木に胡座(あぐら)をかいた。




しばらくの間、重たい空気が立ち込めていた。


沈黙が嫌いなあたしにとって、これほど苦痛なものはない。




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