彼女の骸を抱きかかえて、本部へと戻ると
本部に駐在する仲間たちは同じように言葉を失った。
その月に入って
まだ十日というのに
流行り出した狩りはとどまるところを知らず
今回でもう五人目になる。

「ボス!……ボス、きこえますか?」

キラは大きな声で
本部の一番奥の部屋に呼びかけた。

「ああ、聞こえているよ?」

扉が開く。
亡骸を抱えたキラを迎え入れる声は優しかった。

「……また、被害者が出ました……」

「…………痛ましい……っ……」

ボス、と呼ばれた男とも女ともつかぬ四枚の翼をもった天使は

彼女の体に手をかざして祝福を与えた。
無残な血痕だらけの体は光に包まれ、
そのまま消えてゆく。

「……いったい、何者が……」

「僕は、もう……許せないかもしれない」

キラはぎゅっと握りこぶしを握りなおした。

「キラ、今は落ち着いて
……一刻も早く、必ず 犯人を」
「わかっています!」

これ以上自分の部下が傷つくのは見たくない
それはみな同じこと

けれど

冷静になろうとすればするほどに
それは叶わないことだと自覚させられる。

このようなひどい仕打ちがあっていいものかと