子守唄のような鎮魂歌が、
心地よく揺れる。
シャーリィは、消えかかる声でキラに、
リフに、礼を告げた。

「ありがとう」

「……」

リフはぼんやりとその光景を見つめた。
今まで幾度となく見届けてきた魂を送る儀式。
それが今夜はいつになく美しく思えて。

シャーリィの姿が完全に光に包まれて消えゆくと
キラは歌を歌うのをやめて小さくため息をついた。
キールは聞き惚れていたのか、
ぼんやりとした瞳のままキラの口元を眺めていた。

「おつかれ」

リフの呼びかけに
キラはほんのわずかに微笑して答えた。

「ありがとう」
「今更、何言ってんだよ」

リフは苦笑してキラに背を向けた。

「さ、帰るぞ。遅いけど晩飯にしようぜ」

今日はお前の好きなビーフストロガノフでも作ってやるよ。
とリフは笑った。
キラはその背中を見て弱弱しく笑う。

キールはそんな二人を少しうらやましいと思った。

「……おまえらは、
恵まれてるね」

小声でつぶやいたその声を
誰も聞くことはなかった。

「ほら、キールもそろそろ帰らなくていいのか?」

キラは気遣うように呼びかける。
そう、今晩の夕食を食いそびれた彼がいたのだった。