鳥たちがざわめきだす
夜の静寂の中、
このように鳥がざわめきだす理由は

死人が彷徨うから
などという。

それは本当か?
はたして、噂でしかないのか。

キラは鳥たちのざわめきに顔をしかめながら森の奥へと進む。
ちょろり、と足元を鼠が走った。

「、っと」
「ダンナ、危ないじゃねえですかぃっ」

ちぃ!と鳴いて鼠はキラを見上げた。

足元を走る小さな森の住民にキラは目を凝らす。
暗闇の中、鼠の目はキラの瞳とおなじ紅色に光っていた。

「ごめん」

「日も落ちたってのに、
どうなさったんで?」
「探しているんだ。
女の子をね」

お前なら見えるだろう?
と尋ねると
鼠はふにふにと顔を掻きながら答えた。

「さぁ、ちと、人間臭いかなとはおもいやしたが」
「見てはいないか?」
「ん〜、でも、
においはたどれますぜ」

鼠は器用に鼻の先をふんふん、と動かす。
そして、ひとしきり周りを嗅いで告げた。

「この先でさぁ、西のほう、
……あっちには廃墟があったなぁ」