「なあに?キラさん」

「足は、痛くないか?」

キラはその血まみれになっている細い足首に
そっと目をやった。

「うん、大丈夫。
ちょっと痛むけど
 前よりは大分楽なの」

ほら、とシャーリィは
その場でぴょこぴょこはねてみせる。

確かに。元気だけはあるようだ。
けれどリフはその様子を見て
眉間にしわを寄せた。

「あ、こら!
……ダメだろう、傷が悪化する
……いいから負ぶされ」


自分たちを心配させまいと
そんな行動にでたんだろう、とリフは笑う。
目の前に広がった華奢ながら広い背中に、
シャーリィは素直に負ぶさった。
羽根は気を遣ったリフが消してくれたようで、
なんの違和感もない。
シャーリィは天使ってすごいな。
と思った。

林檎をたくさん入れた籠をキラが持つ。
ふわり、と独特の甘酸っぱい香りが広がった。

「うわぁ、リフさんは力持ちだね」
「あ?お前、俺をなんだと思ってたんだ?
天使だぞ?お前の守護天使だぞ。
なんだってできんだ」

二人の笑い声が山にこだました。

キラは胸がちくりと痛んだ。