「自分の家みたいだな」

 二人の様子を見ていると、つくづくそう感じる。圭太郎は窓の外、庭でグラジオラスの手入れをしている女の人――「先生」を見た。

「ここは先生の家だよ」

 捨てるように呟くと、振り返って詰め寄り、僕の楽譜を奪う。バラバラと捲り、それから僕に立つように言う。ピアノなら早紀の使っていた方が空いているんだから、そっちに行けばいいのに。

 僕は圭太郎に席を譲る。

「お前は、あいつと付き合ってんのか?」

 椅子の位置を合わせながら、唐突に訊かれる。