「何で笑うの、酷い」

「ごめん……いや、何もコンクールじゃないんだから」

「え、だって校内音楽コンクールって」

「所詮、文化祭の出し物だよ。聞くのはただの高校生だし」

 早紀は、解せない、とまだ不満そうな顔をしている。

「何よりも、楽しまなきゃ」

 この思い付きは多分、気晴らしじゃない。僕は楽しみたいんだ。君の、楽しんでピアノを弾いている姿を見たいんだ。