はあ、とため息を吐いた。窓から入る初夏の風が、慰めるように僕の頬を撫でて過ぎる。そして、置いてあったプリントも撫でて、それをバラバラと吹き飛ばした。廊下にザラ紙が舞う。

 廊下には僕一人しかいないが、生憎、僕の良心はこの有様を見過ごすことを許さない。僕はもう一度肩で息を吐くと、廊下の窓を閉め、散らばったプリントを拾い始めた。公開模試のお知らせ、過去問の注文用紙、新着図書の一覧……。その中で手書きのプリントに目と手がとまる。


『文化祭特別企画 校内音楽コンクール
 参加者募集中 文化祭実行委員会』