「そう言えばさ、口内炎治った?」

「あんなもん、とっくの昔に治ってら」


ニカッと笑った後に、『口の中快適』と、付け足した。


最近の彼は、笑う事が増えたような気がする。


すごくいい顔をするんだ。



「ところでおまえさ」


そうかと思うと、急に真顔に戻る。


こういうところまで、大ちゃんに似てる。


「ダチと喧嘩したの?」


あたしが驚く顔を向けると、『クラスの女共が噂してた』と、肩をすぼめながら言った。


『どんな噂?』


そう聞きたくて声に出そうとしたけど、怖くてそんな事出来なかった。