少しずつ、ざわついていた気持が落ち着いてきた。


気がつけば、教会の窓から見える大空が、澄んだブルーからオレンジ色へと変わっていた。


ポカポカと差し込んでいた日差しも弱まり、徐々に肌寒くなっていく。


気持もだいぶ落ち着いて、明日学校に行けばあいつと話せるような気がしてきた。


なんの根拠もないけど、今なら、素直に謝って仲直りが出来るような気がする。


そして、真由とも。


そうだ、早く帰って真由に手紙を書こう。


全ての真実を、手紙で伝えよう。


きっと、わかってくれるから。


そう思い、鞄をもって立ち上がろうとした


その時だった。



バタンっ!


後方のドアが開いて、教会に長い人影が現れた。


なんとなく後ろを振り返る事が出来なくて、その場に立ったまま、鞄をギュっと抱きしめた。


ドアを開けたまましばらく止まっていた人影が、ゆっくりと歩いてくる。


足を引きずって、両手をポケットに突っ込む影は、振り返らずとも、誰の影なのかはすぐにわかった。