「まだまだ両親に甘えたい時期に二人を亡くしてしまい、あの子は親戚から酷い扱いをされてきた。
今は、もう吹っ切れたように笑ってるけど、やっぱりどこかで引っかかってる部分があると思うんだ。

ああやって、派手な格好をしているのも、みんなの目に止めてもらいたいからなんじゃないかな。
恭平の格好は、世間一般から見ればだらしなく見えるのかもしれないけど、私は全然悪い事じゃないと思う。彼なりの表現方法だしね」


そうだったんだ。


彼がいつもああやって派手な格好をしているのは、自分の存在をアピールする為、か。


決して、悪意がある格好なんかじゃなかったんだね。


だから、前にあたしに言ったんだ。


『だから、なんつーか、嬉しいっつーか、調子狂うっつーか』


ぶっきら棒な言い方だけど、彼にとっては、本当にうれしい事だったのかもしれない。


あたし達にしてみれば普通の事でも、彼にとっては、奇跡に近いものだったのかもしれないね――。