それから間もなく、フロウとジルの二人はすっと姿を消していった。再び一人の空間。
 一体、わたしが何をしたって言うの……? 何をしろと言いたいの……?

 無性に泣きたい。大声で何も気にせず泣きたい。でも、声を出して泣くことはちっぽけなわたしのプライドが許さなくて、結局、ベッドの枕に顔をぶつけ、声を殺しながら泣いた。

 涙でびしょびしょになっても気にしなかった。
 心の中で、わたしは救いを求めていた。


 気が済むまで泣いて、目を瞑っていたら寝てしまっていた。今度は必死に瞳を開けたくない気持ちになっている。
 この目を開けたとき、わたしの苦悩が始まる。そんな気がして――。

 実際はもうすでに始まっているんだけど。


 次第に、目を瞑ることすら疲れだした。顔を少し枕から上げて、ゆっくりと目を開ける。

『あ、碧い、瞳――』

 最初に感じたのはそれだった。

 ん、碧い? 瞳?
 瞳からさらに視野を広げる。それは顔だった。人の形をした、男の顔。金色というよりも、ゴールドに輝く髪。
 人、人……、人ぉ――!?

 頭が一気に覚醒した。何時の間に被っていたのか分からない毛布のようなふかふかなものから、ばっと身体を起こす。
 その間、実に時が止まっているかのように感じた。