意識が途切れてから見えたのは、眩しい光。他のものは何も見えなくて。ただ、光があることだけが、分かる。
 目を開けているのか、閉じているのかも分からない。これ以上居たら、目が焼けるような気がする。助けて……誰か助けて。
 悲鳴を上げてもそれは声にならず、誰一人伝えることができない。
 苦しいの、お願い此処から助けて……。

 ふと、目を覚ますと光のように明るい世界だった。だけど、いつか見た眩しさとは違っている。どこか温かみのなる優しい雰囲気の部屋。

「って、ここはどこだっけ」

 確か、変な女の子を家にあげて、話をしていたところまでは覚えている。
 それで、今現在は此処に居る。

 あまり考える時間もなく、外から話し声が聞こえた。

「そろそろ目覚めるとは――本当なのですか」
「このわたくしが間違うことなど今の今までありませんわ」

 程なくして、左手側にある扉が静かに開いた。

「ほら、起きていらっしゃるでしょう」

 得意げな顔をして喋っていたのは、此処に来る前に会った例の少女。そして隣に居るのは背の高い男の人。黒ではない、濃い灰色の髪をした人。別に悪い印象はない。

「……やはり貴女の言うことは侮れません。はじめまして、妃様。神預国の国務筆頭、ジルと申します。お見知りおきを」
「は、はじめまして」

 女の子に向かって話していたかと思うと、突然、此方を向いてきた。そして、つい条件反射で返事を返しまった。
 や、やだ、知らない人となんて話せられない。実を言うと、わたしは結構な人見知り。慣れるまで時間が掛かる。
 緊張にバクバクと云っている胸を必死に抑えようと集中する。