「真の妃でないと、これは光りません。その者を見つけ、迎え、手渡す。これが管理者の最初の仕事になります」
渡したら、後は殆んど妃の役目となる。そう付け加えた。
「今言っているあなたのすべきことはぶっちゃけていうと分かりにくい、抽象的なものばかりでしょう? 簡単に言うと、貴女はその秘玉を完成させるのよ。『秘玉飾り』に」
「秘玉飾りって首飾りみたいなもの?」
そうよと答え、ホワイトボードに何か書いていく。見たところによると、首飾り――秘玉飾りなんかな、あれは。
さらさらと書き上げていく様子をじっと見ながらそんなことを考える。
「形は人それぞれなんだけど、現在の皇妃はこんな形ね」
見ると、真ん中に大きな玉があり、小さなビーズのようなもので他の中くらいの玉と繋がっている。かなり豪華なものだと思う。わたしのなんて、直径2cmくらいのちっちゃな玉なのに。
「一つ何らかの課題を乗り越えていくごとに数が増えたり、大きくなったりしていくのよ」
「摩訶不思議な玉だね」
「わたくし自身、その辺の謎はいまいち把握してないの」
……そんなんでいいのか、管理者。
「課題も、人によってそれぞれだけど、大方は礼儀作法・一般教養プラス、愛の力」
「その愛の力というものがなんか漠然としてるような気がするのは、わたしだけですか」
ぼっそっと呟く。作法、一般教養とははまあ分かりやすいほうだと思うし、納得付くもの。でもね、愛の力って何? ラブですか、ラヴ……。
「愛の力は、二人の試練。お互いがお互いを知っていくことで解決していくから、いちゃいちゃしたらいいのよ」
それは、最初に言ってた『適当にあしらう』に反すると思うのはへ理屈なんだろうか。
「元をいえば、夫婦たるものお互いがお互いを知らずしてどうする、ってところから来ているんだろうと思うのだけど。それは国の平和は家庭からと願うこの国の神の考えなんです」
「随分、アットホームな神様――」
「そして、これはわたくしの推測にすぎないのだけど、一つ課題を乗り越えるごとに、元の世界に帰ることができる」
ってことは、真面目に授業に出て、やることをやれば帰れるってことだよね。
真っ暗闇に希望が差し込んできたようだった。