「――って、無駄な時間を費やしてしまいました。それでは早速本題に入ります」

「その前に忠告があります。これから教えていくことの中に、妃しか知りえない事項がいくつかあります。それらは絶対に他言無用です。分かりましたか?」

 さきほどとはまた少し違う、緊迫した雰囲気で話す。自然と、首を縦におとす。

「まずは……妃と管理者の関係についてです。これは少し歴史も入ってしまうのですが、管理者というものはこの国が始まって以来、妃の認定を行う者のことをいいます」

 ホワイトボードのようなものに書いて説明していく。この国が始まって以来ってどれくらいなのかな、なんて思いながらも質問することができずにいた。

「大体は、国の皇位継承者に準ずる者が秘玉を持って生まれてきます。途中、戦などで継承者が変わり、秘玉も変わることもありますが、ここ100年は前者の場合です。そして時が来るまで、管理者の方で管理します。なぜだと思いますか?」
「えッ、そこで聞くんですか――。えっと、それが管理者だから?」

 はっきりとした答えも分かるわけないので、適当に答える。が、驚いたことに、肯定の声が次に上がる。

「まあそうです。持ち主の皇子が好きな者に勝手に送るなどしたら、国が乱れます。そもそもわたくしが、そうなる前に奪い取りますが」

「貴女に渡したとき、白く光っていたのを覚えていますか?」

 そういわれると、目線が首にかけている秘玉に目が移る。今も淡い白を輝かせているが、もとは無色透明だったのを覚えている。