「何れ現れると思っておりましたから」
「そ、それってどういう」

 あっさり端的に答える姿に、こちらがびっくりする。しかし、それだけではなかった。驚く答えが返ってきた。

「ここが元々あなたの居る世界ではないからです。簡単に言えば、こちらでの貴女の器と向こうでの貴女の器が違うということ。さすがに体ごと持っていくのは負担ですから。それにこちらに来た時、迷わずその器が用意されていたということからも貴女が秘玉の主なのは明らかです」
「そんな……なら、どうして髪と瞳の色だけが違うんですか」

 それならまったくと云ってもいい別人のはず、でも一応その二つを除くとわたしなんだ。

「全く違う器に入っても、魂が馴染みません。より近い、あなたのための器をその玉が作ったのでしょう。最も、こんなこと今までになかったことなので、推測にしかすぎませんが」

 返す言葉も見つからない。いや、返すこと自体が馬鹿馬鹿しく感じた。

「それだけでしたら、また後ほどに……今少々忙しいので。それに今日からいろいろ稽古や礼儀作法などいろいろ入るのでまた逢うと思うのでその時にでも」

 そういって彼女は去っていった。小さな嵐のようだった。

 結局あれからずっと、憂鬱のままだった。
 それにあの皇子が見たときはすでに変化していたらしく、元からその色だと思っていたらしい。朝ごはんの時、五月蝿く喋っていた。
 先が思いやられる。朝から疲れる。

 こんな状態がずっと続いていたのだった。