『やっぱり潤也だ』


そう言いながら香月が近づいてくる。




『さっきさ、チラッと見えたから追いかけてきた』




『香月…』




香月も気づいてくれたんだ。




そう思うと嬉しくて堪らない。




『ここじゃ、怒られる。場所変えよ』




香月は俺の手を取ると、階段を一気に上っていく。





辿りついた先は屋上。


『ここって鍵付いてたよな?』



俺は鍵の掛ったドアノブを回しながら香月に聞くと、



『平気。鍵なら持ってる』



そう言って、香月はスカートのポケットから

ジャラジャラと大量の鍵を取りだし、

器用に屋上の鍵を開けた。